ある夜、自転車で直進していた時のこと。道路は比較的空いており、私はいつも通りのペースで走行していました。しかし、その穏やかな夜道が、一瞬で恐怖に変わることになります。
私のすぐ隣を走る自動車。特に気にすることなく並走していましたが、次の瞬間、その車が突然左折してきました。
ウインカーは出ていない。
減速の気配もなかった。
避ける間もなく、私はその車に巻き込まれました。
事故の衝撃とその直後
「ガシャーン!」
自転車は激しく転倒し、私は地面に投げ出されました。しかし、不思議なことに、その瞬間は痛みをほとんど感じなかったのです。
体を動かしてみても、特に異常はなく、血が出ている様子もない。壊れた自転車を見て「あぁ、これは買い替えなきゃな……」などと考える余裕すらありました。相手のドライバーも驚いた様子で降りてきましたが、私が無傷だと分かると安堵したようでした。
「本当に大丈夫ですか?」と何度も聞かれ、私も「大丈夫そうです」と答えました。事故処理を終え、私はそのまま帰宅することに。
しかし、その後が本当の地獄でした。
翌日、襲いかかる激痛
事故当日は何ともなかった体。ところが、翌日、全身が痛みで動かせない状態になっていました。特に背中と首に強い痛みがあり、少し動くだけで激痛が走る。さらに、夜になってもその痛みは消えず、まったく眠れないほどでした。
「これは普通じゃない……」
翌日、病院へ行くと「むち打ち症と全身の筋肉損傷」と診断されました。医師の話によると、事故の衝撃で筋肉がダメージを受けており、時間が経ってから症状が出ることはよくあるとのことでした。
そこから、三か月に及ぶ通院生活が始まりました。
長引く通院と学んだ教訓
最初は「数回の通院で済むだろう」と思っていましたが、現実は甘くありませんでした。治療は想像以上に長引き、毎週のように病院に通う日々。痛みは少しずつ和らいでいきましたが、完全に回復するまでに三か月を要しました。
この事故を通じて、私は改めて交通事故の怖さを実感しました。
・事故直後に異常がなくても、後から症状が出ることがある。
・「大丈夫」と自己判断せず、すぐに病院へ行くべきだった。
・自動車の動きを常に警戒し、ウインカーの有無に関わらず危険を予測することが重要。
それ以来、私は夜間の自転車走行ではより慎重に車の動きを観察するようになり、特に並走する車には細心の注意を払うようになりました。事故は一瞬でも、その影響は長く続く。交通事故の怖さは、体験しなければ分からないものなのだと痛感しました。