夜の静けさの中、私はバイクで家へ帰る途中でした。街灯も少なく、視界は暗闇に包まれていました。特に注意しながら運転していたものの、その異常な光景には気づく余地がありませんでした。
突然、目の前にトラックが――
それは道のど真ん中に止まっていました。ライトは一切ついておらず、完全な闇の中に溶け込んでいた。
気づいた瞬間、すでに遅すぎました。
衝突、そして100メートルの飛距離
「ドンッ!!!」
その瞬間、すべてが暗転。自分がどうなったのかも分からず、ただ「ぶつかった」という衝撃の記憶だけが残っていました。
後から聞いた話によると、私は衝撃で100メートルも飛ばされたそうです。通常、これほどの事故では助かる可能性はほぼゼロ。
医師ですら「助かる見込みはない」と告げたほどの重傷。
もし助かったとしても、植物状態になる可能性が高いとまで言われた事故でした。
奇跡の生還と壮絶な治療生活
奇跡的に、私は2週間後に意識を取り戻しました。
目が覚めた時、体はまったく動かず、痛みだけが全身を襲いました。顔の感覚もなく、鏡を見たときには顎が完全に砕け、前歯はすべてなくなり、顔全体に30針以上の縫合痕が残っていたことに愕然としました。
治療には半年以上かかりました。食事は流動食のみ、会話すらままならない日々。手術を重ね、痛みに耐えながらリハビリを続けるしかありませんでした。
示談交渉の苦悩
過失割合は9対1でトラック側が圧倒的に悪いと判断されました。
・そもそも停めるべきではない場所に違法駐車していた。
・無灯火で停車しており、視認不可能な状態だった。
しかし、示談交渉は思うように進まず、最終的に120万円の示談金で決着しました。
正直、これだけの大事故で負った傷の大きさを考えると、示談金の額には納得しきれませんでした。
「これでは傷跡や後遺症に見合わない」
そう思い、増額交渉を続けましたが、時間が経つにつれて話し合いも難航し、最終的に1年後には交渉自体が終わってしまいました。納得のいく形とは言えないまま、示談は終了。
事故から学んだこと
この事故は、「どれほど注意していても、回避できない事故がある」 ということを身をもって実感する出来事でした。
・夜間の運転は、前方の視界を信じるのではなく、「何かがあるかもしれない」と思いながら走るべき。
・違法駐車や無灯火車両は、命を奪いかねない重大な過失になる。
・示談交渉は長引くほど精神的にも負担がかかり、思うような結果を得られないこともある。
この事故を境に、私はどんな状況でも**「最悪を想定して運転すること」**を徹底するようになりました。
「奇跡的に生還した命を無駄にしないために、これからはより慎重に生きていくしかない」
そう強く思っています。