【交通事故体験談】自転車通学中の交通事故―不注意が招いた衝撃の瞬間

学生時代、私は毎朝自転車に乗って学校へ通っていました。片道30分ほどの道のりを、自転車で風を切りながら進むのが日課。少しでも早く到着したいという気持ちもあり、時にはスピードを出しすぎることもありました。

しかし、その日ばかりはいつも以上に急いでいました。というのも、寝坊してしまったのです。普段なら余裕を持って出発するところを、その日は朝食もそこそこに飛び出し、全力でペダルをこいでいました。

通学路の中には、見晴らしの悪い交差点がいくつかありました。特に、事故が起こった現場は以前から「ヒヤリとすることが多い」と言われていた場所で、細い道路が合流する形になっていました。

事故の瞬間

焦りに駆られていた私は、いつもよりスピードを上げたまま、その見通しの悪い通りへと差し掛かりました。「大丈夫だろう」と勝手に判断し、減速することもなく通過しようとした、その瞬間——。

視界の端に、何かが動いた気がしました。

次の瞬間、「ガシャン!」と大きな衝撃が走りました。気づいた時には、私は地面に投げ出され、自転車も横転していました。

何が起こったのか、一瞬理解できませんでした。しかし、倒れたまま顔を上げると、目の前には一台の車が止まっていました。どうやら、横から出てきた車と接触したようでした。

幸いにも正面衝突ではなく、車のバンパーが自転車の前輪に当たっただけで済みました。しかし、私は衝撃でバランスを崩し、地面に激しく倒れ込んでいました。

足首に鋭い痛みが走る。

試しに立ち上がろうとしましたが、右足に力が入らず、ズキズキとした痛みが広がりました。その時、ようやく「これはただの転倒じゃない」と実感しました。

事故後の対応

車を運転していたのは、50代くらいの男性でした。驚いた様子で車を降り、私の元へ駆け寄ってきました。

「大丈夫か!? すまない、前をちゃんと見ていなかった……」

その言葉を聞いて、私は「え?」と思いました。というのも、当初私は「自分の不注意で飛ばしすぎたせいだ」と思っていたのです。しかし、どうやら相手のドライバーも前方不注意だったらしく、交差点に進入する際に脇見をしてしまっていたとのことでした。

すぐに通行人の方が警察を呼んでくれ、私は近くの病院へ運ばれました。診断の結果は「右足首の捻挫(全治2〜3週間)」とのこと。大事には至りませんでしたが、しばらくは松葉杖生活を余儀なくされました。

その後、親が保険会社を交えて相手側と示談交渉を進め、過失割合は相手8:私2 で合意しました。治療費や自転車の修理費を含め、10万円ほどの示談金を受け取ることになりました。

事故から学んだこと

この事故を通じて、私は「どんなに急いでいても、安全確認は絶対に怠ってはいけない」ということを痛感しました。自分の不注意だけでなく、相手の不注意が重なることで事故は起こります。

もしあの日、もう少しスピードを落としていたら?
もしドライバーがしっかり前を見ていたら?

ほんの少しの違いが、事故を防いでいたかもしれません。

それ以来、私は自転車に乗る際には周囲の安全確認を徹底するようになりました。特に見通しの悪い交差点では一旦スピードを落とし、場合によっては一時停止するようにしています。

急いでいる時こそ、冷静になることが大切。
焦りは判断力を鈍らせ、事故を招く要因になり得るのだと、身をもって学びました。